☆ ガンベルトを選ぶ時の注意 ☆
アルフォンソーに頼んで、冗談半分で作ってもらったコルトSAA・バントライン用バスカデロ」パターンのガンベルト。通常バントライン用のガンベルトは、左側にグリップを前に向けて、サーベルのような取り付け位置になるように作る。それをあえて右側の普通の位置にくるよう作ってもらった。しかし抜きにくくて実用性に乏しいことがわかった。その上ホルスターが邪魔で椅子に座れないことにも気付いた。
アルフォンソーのハイライド・リグA3。銃がベルトの高さにくる。ベルト上のスリットをホルスターのバック・フラップが後ろから通るという面白いデザインだ。
こちらはスピードで作ってもらった、アンダーソンのハイライド・リグ「A.A.」のコピー。革にタンディ製ライブ・オークを使ってもらった。使い込むうちに色が褐色に変っていく極上品だ。

 自分用のガンベルトが欲しい、ウエスタン・ファンなら誰しもそう考えるものでしょう。
 いくらモデルガンをくるくる回してみたところで、ガンを収納するホルスターが無いと様にならないものです。
 ガンベルト・メーカーにガンベルトを注文すると、当然いくつかの項目を聞いてきます。ガンベルトのサイズや仕上げ、使用する銃のことも詳しく知りたがります。
 以下に、ガンベルトを注文する時に注意すべき点について、いくつか思いつくままにあげてみました。

1.サイズ

  通常ガンベルトは、ズボンに通したズボン・ベルトの位置より、少し下の腰の部分に水平に装着します。
 一般的には、普段ズボンに通して使っているベルトのサイズは、ズボンの表示サイズより2インチ(約5cm)ほど大きくなり、ガンベルトのサイズはズボンのサイズより5インチ(約12.5センチ)ほど大きくなると言います。つまり、ズボンのサイズが36インチの場合、それに使うベルトのサイズは38インチになり、その人のガンベルトのサイズは41インチになるわけです。 ただし、人によって体型が違いますし、好みも違うので、一概には決められませんが・・・
 実際にガンベルトを装着する部分に、紐などを巻いて測ってみる必要があるでしょう。 メーカーによって、「ハイ・ヒップ・サイズ」等と呼んだりもするようです。 間違ってズボン・ベルトのサイズでガンベルトを作ってしまうと、届いてから「小さすぎた!!」ということになってしまうのです。
 間違いのないように、両方のサイズを聞いてくるメーカーもあります。 (ここで言うベルトのサイズとは、ベルトをまっすぐにした時に、普段使っている穴から、バックルのつめの先端までの長さを指す場合が多いようです。)
 エル・パソ・サドルリー社等は、「パンツ・サイズ」(履いているズボンのサイズ)とガンベルトの「センター・ホール」(装着する部分を、紐などで実際に測ったサイズ)の両方を、オーダーシートに記入させます。 また、ギャルコ社のように、メジャーリング・リグと呼ばれるサイズ測定専用のベルトを正式オーダー前に送ってきて、腰に巻いてサイズを測り、自分のサイズと合う穴の番号に丸をつけ、契約書にサインをしてから、再度送り返す会社もあります。 高価なガンベルトを作成してから、簡単に「サイズを間違った」と言われるのを危惧しての事です。
  注意すべきは、ビアンキ社のように、ガンベルトのサイズをズボン・ベルトのサイズより必ず数インチ大きいものと固定的に扱い、ガンベルト本体にズボン・ベルトのサイズを刻印する場合がある、ということです。すなわち刻印されているサイズより、ガンベルトは数インチ大きく作られていることになります。
 私は、以前ビアンキのガンベルトをアメリカのお店で注文する時に、その事を何度もお店の人に言ったにもかかわらず、結局私の手元に届いたものは、少し大きいものでした。私のように、コレクションするだけの場合は、それでも「仕方ない」で済むのですが、そのガンベルトを腰に巻いて使う人には、まったく使い物にならない、ということになります。
 自分で注文される方は、十分に気をつけるべき項目だと思います。
2.仕上げ

 ガンベルトの仕上げには、革の風合いをそのまま生かし、何もしない「ナチュラル」や、茶色や黒に染め上げたもの、革の裏側の荒れた面を表として使う「ラフアウト」などがあります。
  メーカーによって、いろいろな仕上げ方を用意しているようです。 別項で触れるカービングやスタンピングといった表面仕上げの要求に応じてくれるメーカーもあります。
 「ナチュラル」は、最初手渡されたときは、妙に白っぽいのですが、使っていく内にだんだんと革が焼けて茶色く染まってくのを楽しむ良さがあります。私は、オイルを塗ってやると、それだけで褐色に変っていく「ナチュラル」仕上げが大好きで、大抵これを選びます。しかし革に良いものを使っていない時はだめです。「ナチュラル」仕上げは、製造メーカーを選ぶ必要があるでしょう。
  「ラフアウト」は、通常とは反対に革の裏側のざらざらした面を表側にして使いますが、クリント・イーストウッドが「夕陽のガンマン」などで愛用しているアンダーソンのガンベルトは、この「ラフアウト」仕上げを選んだことで有名です。画面では一見プレーンな仕上げに見えますが、映画をよく見ていると、「ラフアウト」であることがわかります。
  染料で、革に色を染めこむ場合もあり、ブラウン系の数色を選べる会社もあります。
  「黒」を選ぶ人は、大抵「黒」に特別の思い入れを持つようで、「黒」以外はだめと言う人が多いようです。しかし、「黒」を選ぶときは注意が必要です。
  一般に革を仕入れる時は、牛一頭分のなめした革を買います。しかし、アメリカの革の場合、表面に有刺鉄線等の傷が多く、一頭分すべてが材料として使えるわけではありません。特にベルト部分のように、連続した広い面積の材料を必要とする場合は、なかなかいい革にめぐり合えず、たいてい数カ所、傷や成長皺が入っています。 少々傷があっても、アメリカ人はたいして気にしないのですが、日本人の場合、それを特に気にする人が多いようです。
  ところが、その傷を隠すのに、黒く染めることは大変都合がいいのです。 すべてそうとは言いきれませんが、傷のついた部分は、黒いガンベルト用にまわされる可能性がある事を、知っておいて損はないでしょう。
3.銃の種類

  銃に関しては、銃の種類、銃身の長さ、口径の各データを必要とします。日本人の場合、たいていコルトSAAのモデルガンになるでしょう。
  銃身の長さは、SAAの場合、一般的に4  3/4インチのシビリアン・モデル、5 1/2インチのアーティラリー・モデル、7 1/2インチのキャバルリー・モデルがありますが、早撃ちの場合は、たいてい前二者のモデルを使用すると思います。(一般的には、銃身のインチ・サイズの方で呼ぶ事が多いようです。)
 ここで注意すべきは、4 3/4インチ・モデルを指定した場合、ホルスター部分が短くなってしまい恰好が悪いので、銃がシビリアン・モデルの場合でも、アーティラリー・モデル用に作らせる場合があるということです。大は小を兼ねる、というわけですね。
  銃の口径は、ベルトにカートリッジ・ループを付ける際に重要になってきます。 日本の場合、ほとんどのモデルガンが45口径でしょうが、革は伸び縮みするので、それほどシビアではなく、44口径と兼ねている場合がほとんどです。SAAは、本来20種類にも及ぶ多くの口径バリエーションを持っていますが、ガンベルト・メーカーは、ループの大きさを、「大」「中」「小」の3種類くらいで対応させているようです。
4.銃のポジション

 早撃ち競技を考慮してガンベルトを選ぶ場合、自分の早撃ちのスタイルや、競技種目ににあったものを選ぶ必要があります。 ファースト・ドロウ・パフォーマーたちは、長年銃に親しむうちに、「自分にはこれ」という独自のスタイルを見付けており、個性豊かなガンベルトを選びます。
  一般に、銃の位置が高いほうが、いいタイムが出ると言われているそうで、高い位置にホルスターを持ってくるガンベルトでは、アンダーソンの「A.A」や、アルフォンソーの「A3」などがあります。 私の場合は腕が長めのため、高い位置はちょっと苦手です。
 また早撃ちのスタイルや銃の形によっても、ガンベルトの形は違ってきます。 片手(ワン・ハンド)で早撃ちする場合は、通常のガンベルトになりますが、両手(ツー・ハンド)がメインの場合、特に専用にチューニングしたガンの撃鉄(ハンマー)の形状が異なるため、銃を固定するためのハンマーソングの長さが変ってきます。
 オプションで、ホルスターの前の部分を大きくえぐった形にしてくれるメーカーもあるようです。早撃ちは、まさに一瞬の勝負なので、細かい事がタイムに影響してくるのでしょう。 また、暴発した場合を考えて、ホルスターの先端部に、足をガードするための金属製の板を付けてくれるメーカーもあります。
ビアンキ1890のサイズ表示。口径44〜45用でベルト・サイズは40インチに適合する、という意味だが、センタ・ーホールのサイズを実測すると44インチ(約110cm)ある。最初から大きく作ってあるのだ。
ラフアウト仕上げのスピード製のアンダーソン「ウォーク・アンド・ドロー ウエスタン」のコピー・リグ(右)と、ブラック仕上げにしてもらったアルボ・オジャラのNo.1リグ(左)。