メキシカン・ループのいろいろB
☆ テキサス・ジョックストラップ・スタイル ☆
 新しい「メキシカン・ループ」パターンのホルスターを考える時、誰でも思いつくのは、革のループを三つ又にする、ということかもしれません。
 まるで下着のような形の、この「
メキシカン・ループ」ホルスターは、「テキサス・ジョックストラップ」と呼ばれています。ジョックストラップというのは、運動用のサポーターのことで、見た目そのままの感じですね。
 この特殊なデザインのホルスターは、「H.A.ホルツァー」が作っていると、一般に知られていました。
 リチャード・ラッテンベリー氏が名著「パッキング・アイアン」を執筆する時、アンティーク・コレクターのビル・マッキン氏から、氏のコレクションの「テキサス・ジョックストラップ」ホルスターを何点か撮影の為に借りました。中にメーカーの刻印が押されていない物もありましたが、デザインがホルツァーのものと酷似していたため、ビル・マッキン氏も、おそらくホルツァーのものであろうと話し、ラッテンベリー氏もそのことを「パッキング・アイアン」に書きました。
 しかし、数年前、ホルツァーのデザインと良く似ていながら、他のメーカーであるヘンリー・ノードハウス(ニューメキシコ州デミング)の刻印を押されたホルスターの所有者が現れ、「パッキング・アイアン」に書かれたことが、どうやら間違えであることがわかりました。
  このスタイルを1800年代後半に、最初に作った職人のひとりが、テキサス州リアノのH.A.ホルツァーであると言われています。
 ホルツァーのホルスターは、見るからに特異な恰好をしています。全体にカブト虫を想起させるような楕円形をしており、どうも洗練さに欠けるデザインのホルスターです。
 革製のループは、ホルスターの左右と下部の三ヶ所を、覆い包むようにかぶさり、バックストラップに、リベットまたは縫製で固定されます。
 私もこの不格好なホルスターをいくつか所有していますが、上記二つのメーカーの刻印が押されたものも、それぞれ持っています。
 私のノードハウスのホルスターは、そっくりなデザインでありながら、「
テキサス・ジョックストラップ」ではなく、普通の「メキシカン・ループ」なのです。もしかすると、ノードハウスの方が、このデザインの創始者かもしれないとビル・マッキン氏は書いています。
 これらのメーカーに、かつてどのような「つながり」があったのかわかっていません。
 それにしてもなぜこの特殊なデザインに、そうまでして固執する必要があったのでしょう?私にはわからない不思議な魅力を持っていたのでしょうか。
 「テキサス・ジョックストラップ」ホルスター自体は、装飾としてなかなか人気が高かったらしく、もっと洗練されたデザインで、後の時代のS.D.マイレス社やジョージ・ローレンス社も、自社のラインナップに載せています。
テキサス州リアノのH.A.ホルツァーの「テキサス・ジョックストラップ」パターン・ホルスター。1900年頃。この手のホルスターの元祖と思われていた。
ホルツァーのものとよく似ているが、よく見ると普通の「メキシカン・ループ」パターンであるノードハウスのホルスター。1890年代。今となっては2つのメーカーの間にどのような繋がりがあったのかわからない。
こちらは「テキサス・ジョックストラップ」パターンではあるが、メーカーは不明。第三のメーカーか?
1900年代になって作られたS.D.マイレスの「テキサス・ジョックストラップ」パターン・ホルスター。このタイプのホルスターの人気は衰えないらしい。
ジョージ・ローレンスの「テキサス・ジョックストラップ」パターン・ホルスター。だいぶ現代的に洗練された形になってきた。