メキシカン・ループのいろいろ@
☆ シャイアン・スタイル ☆
 町に一件はあった馬具屋(サドルリィ)は、それぞれの特色を出すために、競い合ってアイディアを出し、様々な独自のホルスターが作り出されました。
 その中でも代表的な「
メキシカン・ループ」パターン・ホルスターの形式について触れてみましょう。
 ワイオミング州シャイアンは、牛追いたちの中継点の町として発展しました。
 この町には優秀な馬具職人が揃い、ネイティブ・アメリカンの文化を加味した、独自のデザインのホルスターが作られました。
 「シャイアン」スタイルのホルスターは、もっとも美しい「
メキシカン・ループ」パターン・ホルスターとして知られています。現在でも、当時のホルスターの複製(リプロダクション)を製造するメーカーは、まずこの「シャイアン」スタイルのホルスターのコピーを、自分達のカタログに載せようとします。それほど代表的で完成度の高いデザインなのです。
 「シャイアン」スタイルのホルスターは、ホルスター本体の縫い目のラインが、緩やかな複数の弧を描いており、バック・フラップの切れ込みにその弧がうまく引っ掛かり、銃を抜く時に、ホルスター本体まで抜けてしまわないように考えられています。
 その微妙なラインは大変美しく、「メキシカン・ループ」パターン・ホルスターの最高峰とも言われており、現在ではとてつもない価格で取引されています。その価格は、時に同じ会社の製品である大きな「馬具(サドル)」を凌ぐことさえあるのです。
 またホルスターの先端部分には、「
シャイアン・プラグ」とも呼ばれる、涙型をした革製の蓋が縫込んであります。ここには小さな穴を開ける場合もあり、ホルスター内部に溜まる小さな埃やごみは、そこから出ていきますし、逆に雪や泥から銃口を守る役目も果たします。
 「シャイアン」スタイルを作りあげた代表的メーカーとして、フランク・A・ミーニー(MEANEA)があげられます。
 ミーニーは、アメリカでもっとも有名な馬具メーカーともいわれ、頑固に高品質な製品を作り続けました。当初は、叔父の馬具職人である、E.L.ギャラティンの店を手伝っていましたが、1873年頃までには、ショップを買い取りました。
 しかし1881年まで有名な叔父のスタンプを製品に押していたようです。彼の商売は、1920年代くらいまで続いています。
 
 ミーニーは馬具の通信販売の創始者としても知られています。彼の「メキシカン・ループ」パターン・ホルスターは、非常に高品質な厚い革を使って作られ、他に比類の無いクオリティを誇ります。
 またカービングの技術も申し分なく、まさに「
シャイアン」スタイル・ホルスターの最高峰と呼ぶにふさわしい物です。 
シャイアン」スタイルの代表格、F.A.ミーニーのホルスター。比類無きクオリティを誇る。アンティーク・ホルスターの最高峰とも言える。同社の馬具より高価である、という不思議な現象がおきている。このサンプルは、俳優のトム・ミックスの奥さんの物だったらしい。
シャイアン」スタイルの代表格のひとつであるコリンズ兄弟の「メキシカン・ループ」パターン・ホルスター。1870年代後半から1880年代。前のオーナーが、短い銃身に合わせて一部を切断してしまった。将来どれほどの価値が出るのかわかっていれば、恐ろしくてそんな事できなかっただろう。
状態は良くないが、これも兄弟のひとり、J.S.コリンズの作品だ。1880年代前半。新品の時は、さぞや美しい容姿を誇った事だろう。「シャイアン」スタイルのホルスターは大変高価なため、状態の良いものはなかなか手が出ない。小さな自動車が買えてしまう程の価格なのだ。
コリンズ兄弟は、最良の製品を作ることを目指したと言う。有名なバッファロー・ビルもコリンズのサドルを使っていた。
シャイアン・プラグの一例。
これはスチュワート製の複製品。
縫いこむのに技術が必要なことは、見ただけでわかる。