☆ カリフォルニア・パターン・ホルスター ☆
 当時アメリカにとって、西部は未開の地でした。フロンティアを旅する者達へのホルスター等の供給は、当初、東部の業者によって行われたようです。彼らはパーカション式の銃の弱点ともいえる、湿気、すなわち雨から銃を守る為に、銃を覆うカバー(フラップ)を付けたホルスターを作りました。
 しかし危険に満ちた西部を旅する人たちにとっては、何よりも緊急で銃を抜ける体勢が必要とされました。そのため彼らは、ホルスターのフラップ部分を取り外してしまい、銃をむき出しにするホルスターを作り出し、東部の業者を驚かせました。
 当時カルフォルニアで金が見つかり、一獲千金を夢見た人たちが大挙押し寄せるという事件がありました。いわゆるカリフォルニア・ゴールド・ラッシュ(1849年)です。
 金を求めた人々は、当然多くの危険に直面するはめになります。
 ちょうどこの時期に彼らの使ったホルスターは、「
カルフォルニア」パターンと呼ばれています。 
 「カリフォルニア」パターン・ホルスターは、銃の形に合わせた細長い格好をしたものが多く、そういう形のものは「スリムジム」という愛称で呼ばれています。
 裏側には、ベルトを通すためのループが、銅製のリベットで止められるか、または縫付けられており、ホルスターの先端部は、時には真鍮製のキャップで覆われ、補強されています。
 ホルスターの表面には、飾りの意味で、稚拙なカービングが施されていることもあり、花や幾何学模様、人物などが、彫り込まれていたりします。
 多くは、パーカッション式の拳銃用に作られており、表面がプレーンなベルトに通されて腰に吊るされました。当時の人々には、現代のようなズボンに通すベルトはあまり一般的ではなく、もっぱらズボン吊りを使用していたようです。そしてズボンの上から、ホルスター用のベルトが腰に巻かれました。
 また製造者を示すメーカー・スタンプも、押されている物は少なく、今となっては、誰が作ったのかわからない物が多く存在します。

 「カリフォルニア」パターン・ホルスターが作られたのは、時代的には1850年代から1860年代が中心になりますが、1870年代にも一部作られたようです。

コルト・51ネービー用の「カリフォルニア」パターン・ホルスター。全面に簡単な花の模様が刻まれている。「スリムジム」の愛称で呼ばれることが多い。
こちらはフラップが消えていく過程で作られた「変換期ハーフ・フラップ・ホルスター」と呼ばれる物。小さなフラップが申し訳程度に付いていて、革製のループで本体に止められている。そのループ自体は紛失して無い。
この「カリフォルニア」パターン・ホルスターにも稚拙なカービングが施されている。やはり51ネービー用。「カリフォルニア」パターン・ホルスターは、銃の輪郭をなぞるような外観のものが多い。このような黒いサンプルは「黒バケツ」とも呼ばれたと言う。
一方でこのようなフラップ付きのホルスターの需要もあり、以降も引き続き作られた。
ジーン・オートリー博物館に展示されているワイルド・ビル・ヒコックの「カリフォルニア」パターン・ホルスター。ヒコックは51ネービーを愛用していた。